【アーニス・カリ・エスクリマ】フィリピン発祥の実戦武術を紹介します
アーニスという武術をご存知でしょうか?
カリやエスクリマと呼ばれることもあり、日本ではカリの名称で呼ばれることが多いです。
名前はなんとなく聞いたことあるけど、よく知らないという人も多いと思います。
この記事ではフィリピン武術、アーニスをセブ島で学んでいる私がわかりやすく紹介していきます。
アーニスとは?
アーニスは、スティック・剣・ナイフ・素手・関節技などを主に使うフィリピン発祥の総合武術です。
もともと護身や個人的な決闘の技術として発展してきましたが、近年ではスポーツ化も進み、正式にフィリピンの国技となりました。
現代ではフィリピンの学校教育にも取り入れられています。
フィリピン以外にもヨーロッパやアメリカで特に人気があります。海外では実戦的な武術として高く評価され、軍や警察の格闘術としてアーニスを採用している国もあります。
棒術をメインに練習する流派が多いですが、棒の技術をそのまま剣術・ナイフ術・素手に応用しているのが特徴で、幅広い技術を効率よく習得できるように作られています。
アーニス・カリ・エスクリマ
アーニス・カリ・エスクリマ
なんで名前が3つもあるの?なにが違うの?
はじめて聞くと誰でもそう思いますよね。
理由は諸説ありますが、フィリピンは過去に、長い間スペインとアメリカに植民地支配されていました。こうした複雑な歴史の中で3つの名前が生まれていったそうです。
現代では名前が3つありますが、全て一つのフィリピン武術を指す言葉です。
つまり、アーニス=カリ=エスクリマということです!
因みにフィリピンではアーニスという名前が最も使われており、一般人にカリやエスクリマと言っても全く通じません!
アーニスの特徴
アーニスには数多くの流派が存在するのですが、ほとんどの流派でスティックを最初に練習します。
スティックは長さ70cmほどのラタン製の棒で、流派によってはバストンやオリシとも呼ばれます。
私が習っている流派ではスティックと呼ばれているのでここではスティックと呼ぶことにします。
スティックは、ただ単に相手を殴るだけではなく、関節技を極めたり、スティックを使ってディスアーム(武装解除)をかけたりします。
シンプルな短い棒ですがその技術はとても奥が深いです。
アーニスは最初に練習したスティックの技術を中心にナイフ術や素手に応用していきます。
なので、ぶっちゃけスティックだけちゃんと練習しておけば後からナイフや素手の技術も簡単に習得できます!
アーニスで練習する技術
アーニスで練習する主な技術を紹介します!
シングルスティック
ほとんどの流派で最も時間をかけて練習するのがこのシングルスティックです。片手にスティックを持ちもう片方は素手の状態です。
流派によってスティックを刀剣として練習する流派やそのまま棒術として練習する流派があります。
空いた方の手で相手のスティックを掴む・奪う、関節技を極めたりそのままパンチを打つなど多様な技術が使えるのが特徴です。
スティックを片手で扱う特性上ナイフの技術と互換性が高く、ナイフ術が有名な流派でも実はシングルスティックに最も重点を置いて練習していたりします。
ダブルスティック
両手にスティックを持つスタイルで、昔はこのスタイルが最も重視されていたそうです。
アーニスを始めたばかりのころは両手でスティックを使うことに戸惑いますが、慣れてくると自分の手のように自在に操れるようになってきます。
スティックを両手で扱う特性上こちらは素手の技術と互換性が高く、ダブルスティックをちゃんと練習しておけば素手も早く上達します。
エスパーダ・イ・ダガ
エスパーダ・イ・ダガはスペイン語で剣と短剣を意味しており片手にスティックもしくは剣、もう片方の手に長めのナイフを持ったスタイルです。
スペイン剣術をもとに発展した技術で、アーニスの技術の中では最も古いスタイルになります。
流派によってはエスパーダ・イ・ダガを練習しないところもあります。
そういった流派でもシングルスティックの空いた方の手でパンチを打ち込む、エスパーダ・イ・ダガと同じ動きをする技術があったりします。
ナイフ
アーニスはナイフ術の印象がとても強い武術だと思います。
フィリピンでは日本よりもナイフが身近な存在だったりします。その辺にナイフを携帯している人が普通にいて、昔はナイフを使った決闘なんかも行われていたそうです。
アーニスのナイフ術はそういった決闘や護身歴史ので磨かれていき、軍隊の格闘術に採用されるレベルに昇華しました。
ナイフ術にも流派によって斬るのが主体の流派や、突きが主体だったりと特徴がそれぞれ異なります。
素手
アーニスの素手は普段練習しているスティックの技術を応用しつつ、突き・手刀・肘打ち・膝蹴り・頭突きなど、幅広い攻撃手段を用いて戦います。
素手にも呼び方がいくつかあり、エンプティハンドやマノマノと呼ばれています。
因みにフィリピンでは一般的にマノマノというとボクシングを指す言葉だそうです。
関節技
アーニスでは全てのスタイルで関節技を使い、流派によってロッキングやドゥモグ、コンバットジュードーなど様々な呼ばれ方をしています。
素手だけではなく手に武器を持った状態でも同様の関節技をかけられるように作られているのが特徴です。
ディスアーム
ディスアームとは武装解除のことで相手の武器を落とす・奪う技術です。
武器対武器や素手対武器など様々なパターンを練習します。護身術として非常に有効で、海外の警察や軍隊の格闘術として採用される大きな要因となった技術です。
日本のアーニス
実は日本にも、アーニスを習うことができる教室や団体がいくつもあります。
ちょっと前まで日本においてアーニスはかなりマイナーな存在で、本当に知る人ぞ知る武術でした。
しかし、最近では映画のアクションシーンで使われたり、テレビ番組で度々紹介されるようになり、アーニスに興味を持つ人も増えてきています。
今回の記事で少しでもアーニスに興味を持ってくれたなら幸いです。