フィリピン武術名前ややこし過ぎ問題|アーニス・カリ・エスクリマ

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フィリピン武術の名前がアーニス・カリ・エスクリマと3つあるのってややこしいですよね。

 

例えばモダンアーニス、ぺキティティルシャカリ、ニッケルスティックエスクリマなど。

 

流派によって使ってる名称が違います。

 

アーニスっていうフィリピン武術やっています。というと、アーニスっていうのがあるんだねー、カリしか知らないよ。と言われたことがあります。

 

あんまり知らない人からしたら名前が違うのだから同じものだとは思わないかもしれません。

 

名前ややこしい問題は日本において知名度がなかなか上がらない理由の一つなんじゃないかなと思ったりもします。

 

では、そもそもなぜ他の武術と違い名前が3つもあるのでしょうか。

 

最近、日本にも来たことがあるフィリピン武術界隈で有名な先生が、アーニス・カリ・エスクリマという名称は地域差による方言のようなものと解説している記事を読みました。

 

北部はアーニス、中部はエスクリマ、南部はカリと呼ぶと解説されていました。

 

は?エスクリマなんて呼んでる人見たことないが?

 

僕が住んでいるのは中部のセブ島です。住み始めて2年半が過ぎ、ずっとフィリピン武術を習い続けてきたけど、エスクリマなんて呼んでる人は見たことがありません。本当に地域によるちがいなのか。

 

かと言って有名な先生が嘘を言っているとは思えません。

 

なんでだろう、時代の違いなのかなと考えたりもしましたが、よく考えると自分の先生にフィリピン武術の名前について質問したことがなかったのでこれを機に聞いてみました。

 

グランドマスターと呼ばれている先生なら、きっと答えを教えてくれるはず。

 

アーニス・カリ・エスクリマの意味の違いは?

Q:フィリピン武術にはアーニス・カリ・エスクリマと3つの名前がありますが、それぞれに意味の違いはありますか?

 

A:意味の違いは特に無い。3つとも同じ、フィリピン武術を指す言葉。

 

まず初めに質問してみたのは、それぞれに意味の違いがあるのかどうか。

 

僕が日本にいたときから名前は3つあるがそれぞれに意味の違いは無いと聞いていたのでこの認識は間違っていなかったようです。

 

アーニス=カリ=エスクリマという事になります。

 

セブの人はフィリピン武術を何と呼ぶ?

Q:今までセブの人にエスクリマ、もしくはカリと言って通じたことがありません。先生はフィリピン人同士で話すときフィリピン武術を何と呼んでいますか?

 

A:アーニスとも呼ぶけどエスクリマとも呼ぶ。セブのエスクリマドールはどっちも普通に使う。一般人に通じないことがあるのはフィリピン武術が国技として普及していく際にアーニスという名称を使ったから。

 

今まで一般人にアーニスという名称以外通じなかった理由が分かりました。

 

先生はフィリピン人同士で会話する時、アーニスとも呼ぶしエスクリマとも呼ぶとのことです。

 

そして先生以外のセブのエスクリマドール達も、普段からアーニスとエスクリマどちらの名称も使っているとのことでした。

 

なぜ名前が3つあるの?

Q:アーニス・カリ・エスクリマと同じ武術に名前が3つあるのはなぜですか?また、呼び方が違うのは地域差によるものと聞いたのですが本当ですか?

 

A:名前の違いは時代背景によるもの。アーニスという名称はアメリカ統治下になってから浸透したもので、特に欧米人向けにフィリピン武術を指す時に使うイメージがある。北部にフィリピン武術が広がり始めたとき、既にアーニスという言葉が広く使われていたので、北部はアーニスと呼ぶ人が多い。エスクリマはアメリカ統治下時代以前に一般的に使われていた名前で、当時の発音はエスグリマだった。昔のセブの人はエスグリマと呼んでいたので今でもエスクリマという名前が広く使われている。カリは主にミンダナオで使われる言葉。マレーシアなどの人もフィリピン武術をカリと呼ぶらしい。時代背景によって地域差が生まれた。

 

アーニスという名称が欧米人向けに使われるというのは初めて聞きました。僕がアーニスという名称しか耳にしなかったのは外国人だからという理由もあったみたいです。

 

セブではエスクリマという名称が昔から使われ続けてきたので、今でもエスクリマドールはそう呼ぶみたいです。

 

そして、南部のミンダナオではカリと呼ぶ人が多いという事だったので、結果的に北部ではアーニス、中部ではエスクリマ、南部ではカリという形になりました。

 

方言のようなもので地域で呼ばれ方が違うという説は正しかったです。

 

なぜニッケルスティックエスクリマ?

Q:うちの流派はニッケルスティックエスクリマという名前ですが、なぜアーニスではなくエスクリマという名称を選んだのでしょう。特別なこだわりがあったのですか?

 

A:無い。別にニッケルスティックアーニスでもよかったけど、ニッケルスティックエスクリマの方が響きが良くてかっこいいだろ。

 

時代背景により地域で名前が3つになったことがわかりました。ふと、うちの流派は何かこだわりがあってエスクリマという名称を使ているのではと思い聞いてみました。

 

英語版WikipediaではバリンタワクはBalintawak Eskrimaという名称が用いられています。なので伝統的にエスクリマを使うのかなと思っていたら特に無いとのことでした。

 

他の流派には用いている名称にこだわりを持っているところもきっとあるでしょう。

 

ただ、うちには無かったということだそうです。




まとめ

 

結果的に3つ名前があるのは地域差によるものという説は正しかったです。

 

フィリピンには7500以上の島があり、約1000以上の島々に人が住んでいるそうです。海に隔てられた地域が沢山あるのだから名前が地域ごとに変わるのはごく自然な事だったのかもしれません。

 

僕がセブでエスクリマなんて呼ぶ人はいないと思っていたのは、国技として普及する際アーニスという名称が使われたから一般人はアーニスしか名称を知らない。

 

そして、外国人に対してアーニスという言葉を使うエスクリマドールが多いからという理由でした。

 

フィリピン武術の名称が3つあるせいで、ややこしくなってしまうくらいならいっそ統一すればいいのにと思ったこともありました。

 

しかし、3つとも歴史があり各地域で使われてきた言葉なので、特別なこだわりを持っている流派もあります。各流派で伝統的に使っている名称を変えてしまうのは、なんだかもったいない気もするのでこのままの方がいいのかもしれませんね。