【フィリピン武術】アーニスのドリルってなに?
ドリルと聞いて真っ先に何を思い浮かべますか?
穴を掘るドリルとか小学生のときにやらされた計算ドリルとかじゃないでしょうか。
フィリピン武術にはドリルと呼ばれる練習があるんですよ。
アーニス、カリ、エスクリマを知らない人からしたらドリルってなんだろうと思いますよね。
僕はアーニスを始めるまで、格闘技や武術でドリルという言葉を使うことを知らなくて、習い始める前にネットで調べてたときはドリルってなんだよと思ってました。
習い始めて4年目になりますが、今まで触れたことのある全ての流派でドリルという言葉が使われていたので、多分ほとんどの流派で使われているのだと思います。
今回の記事ではドリルと呼ばれる練習とはどんなものなのか、それと僕のなりにドリル形式の練習の有効性を書いていきます。
ドリルとは
ドリル(drill)は英語で反復練習、訓練、教練という意味の言葉です。
YouTubeで海外の格闘技のトレーニング動画を調べると結構頻繁にdrillという単語が使用されています。
アーニスにおけるドリルとは複数の技の組み合わせのことで、ドリル形式の練習は、決まったパターンの技の組み合わせをひたすら反復練習することを指す場合が多いです。
ドリルにはシャドーボクシングのように一人で練習するものから、対人で行う攻防形式のものもあります。
調べてみるとブラジリアン柔術やキックボクシングでもドリルという言葉を使うことがあるみたいです。
キックボクシングは高校生の頃少し習っていたのですが最近知りました。団体やジムによって違うのかもしれないです。
ドリルって実戦で役にたつんすか?
アーニスの話をすると結構聞かれるんですよね。
「同じパターンの練習ばっかりしてていざというとき使えるんすか?」
まあ疑問に思う人がいるのも当然だと思います。でも僕はドリル形式の決まったパターンの反復練習はめっちゃ役に立つと思っています。
理由はアーニスのドリルというのは防御から反撃を高速で叩き込む一連の動作を、パターン化することで無意識の反応を作るトレーニングだからです。
無意識で反撃出来るって結構便利じゃないですか。
アーニスのドリルをボクシングに例えてみます。
ボクシングのミット打ちはジャブ→フック→アッパー→ストレートなどの決まったコンビネーションが身体に染み込むまでひたすら反復して行います。
ボクサーがコンビネーションを常人離れしたスピードで繰り出せるのは、同じパターンを日頃からミット打ちで反復練習しているからです。
ボクサーの鮮やかな連撃は2手先、3手先と出す前からすでに決まっているからこそ成せる技です。これがアーニスでいうところのドリルに近いと思います。
アーニスのドリルって反復練習なのでずっと同じことやるんですよ。最初は上手くできなくて新しいことを覚えるのが楽しかったりするんですが、本当にずーっと同じ練習ばっかりしてるんで正直そういった楽しさは最初だけで段々飽きてきます。
しかしアーニスのドリルは飽きても続きます。練習を続けていれば出来ることは増えていきますが、日々の練習内容は始めたばかりの頃とそんなに変わりません。
変化があるとすれば飽きる頃には何も考えなくても身体が動くようになってくるんですよ。複雑なドリル形式の練習も、今日の昼飯何食おうかとか別のこと考えながらでも出来るようになってきます。
何も考えていなくても勝手に体が動く無意識の反応を作ることで考えたり目で追ったりしながらでは実現できないスピードを実現します。
防御から反撃、反撃から防御を無意識で出来るようになれば実戦でもかなり役に立つはずです。
終わりに
先程ボクシングで例えましたが、ブラジリアン柔術やキックボクシング、空手なども同じで、どの武術、格闘技にもアーニスでいうところのドリルに該当する練習は存在すると思います。
これは完全に僕個人の持論なのですが、武術、格闘技は沢山の技術を習得します。しかし、試合で実際に使うのは無意識に定着している技やコンビネーションを3つか4つぐらいで、それを臨機応変に使い分けるイメージがあります。
カードは沢山持っているけど、実戦に持ち込む手札は使えそうな3枚くらい。みたいな。
昔キックボクシングをやっていた頃はそんなことを考えていた気がします。選択肢は多くないほうが余計なことを考えなくて済むので。単純に頭の容量の問題かもしれませんが。
アーニスのドリルは動きをパターン化して無意識の反応を作ることに特化した練習方法です。ドリルはずっとやっていると飽きると言いましたが、飽きを通り越して無意識に体が反応する感覚をつかむと更に楽しくなってきます。
日本ではまだまだマイナーなアーニスですが、無意識に身体が反応する感覚はすごく楽しいので一人でも多くの人に体験してもらいたいなと思います。