フィリピン武術:剣術と棒術[スティックの握り方の違い]

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※画像はイメージです。実際の記事の内容とは異なります。

 

以前、僕にとってフィリピン武術の先輩にあたる方と久しぶりに連絡を取りました。そこで過去に練習した時の動画を見返していたのですが面白いことに気が付が付きました。

 

フィリピン武術の中でも、剣術流派と棒術流派でスティックの握り方が全く違っていたのです。

 

真逆だったと言ってもいいかもしれません。

 

剣と棒では全く性質が異なるので、そんなの当り前じゃないかと思う人もいるかもしれませんが、僕は今まで深く考えた事が無かったので、個人的には面白い発見でした。

 

剣術流派と棒術流派

フィリピン武術には練習で使うスティックを剣に見立てて練習する流派と、スティックをそのまま武器として使うことを想定した流派があります。

 

剣術と棒術、どちらの技術も含んでいる流派やナイフ術が中心の流派などもあるので、必ずどちらかに振り分けられるというものではありませんが、わかりやすく大きく分けるとするならこの2つになるのかなと。

 

剣術流派の例を上げると、アバニコトレスプンタスやカリスイラストリシモなど。

 

棒術流派はバリンタワクやドセパレスなどですね。

 

モダンアーニスは伝統的な剣術のドリルとモダンな棒術の技術、バランスよくどちらも含んでいる印象。

 

あくまでどちらの技術に主眼を置いているかというお話ですが、今回のテーマ上剣術流派と棒術流派と2つに分けてお話ししていきます。

 

全て同じフィリピン武術であり、材質も長さも同じスティックを使って稽古するのですが、剣術と棒術で握りが違うのです。

 

今回は流派の特徴によって変わるスティックの握り方について書きました。

 

棒術の握り方

僕が今習っているバリンタワクは棒術流派なので、棒術を先に解説したいと思います。

 

バリンタワクの握り方は、人差し指から小指まで、4本の指で第一関節から巻き込むようにスティックを握るように教わりました。4本の指でしっかり握ったスティックを最後に親指で固定します

 

棒術想定の流派だと、近接戦の間合いではディスアームが決まる確率が高くなります。

 

パラカウでは関節技を駆使したものだけでなく、不意を突いて相手のスティックをいきなり引っ張るなどシンプルなディスアームも使います。

 

ある程度しっかりスティックを握っていないと相手が急にディスアームをかけてきたときに簡単に取られてしまうため、棒術流派ではスティックはしっかり握るように教わります。

 

とはいえ常に力み過ぎているとスティックが早く触れないのと無駄に体力を消耗してしまいます。動きの妨げにはならないけど簡単にスティックを奪われないように脱力のタイミングとちょうどよい力加減に慣れる必要があります。

 

剣術の握り方

では剣術流派はどうなのでしょうか。

 

僕がセブに来る以前にアバニコトレスプンタスで習ったことを思い出しながら書きます。

 

アバニコトレスプンタスはフィリピンの古流剣術です。練習ではスティックを使いますが、その動きはまさに剣術そのものです。ドリル形式の稽古でも必ず相手にとどめを刺すところまで練習します。

 

そんなアバニコトレスプンタスでは、中指、薬指、小指の3本でスティックを保持します。

 

親指と人差し指はスティックに添えるだけ。

 

棒術ではしっかり握ることが良しとされていましたが、剣術においてはリラックスして力み過ぎないようにすることが大切だそうです。

 

棒術の戦い方と違っていきなり剣を引っ張られてディスアームされるということはないので、その分リラックスして操作性を重視できるのだと思います。

 

剣は棒とは違い相手に触れさえすれば切れるので力を込めなくても致命傷になります。

 

なので過度な力みは一切必要ないということなのでしょう。

 

おわりに

今回は感覚としては以前からわかっていたのかもしれませんが、ちゃんと考えたことがなかったこと。剣術と棒術でこんなに握り方違うんだなあと、思ったことを文字に起こした記事でした。

 

個人的には面白いことに気が付いたと思ったのですが、いかがでしたでしょうか。

 

上記の握り方はバリンタワクとアバニコトレスプンタスの2流派の握りを参考にしているので、もしかしたら他の流派では全然違う握り方があるかもしれません。

 

うちの流派は全然違う握り方だよという方がいらっしゃいましたらぜひ教えてください。

 

ありがとうございました。